未来に向かって頑張る高校生を応援する「ポカリスエット・エールキャラバン2017」は、各界のレジェンドたちがサポーターとして直接、部活指導や講演をおこない、エールを送るプロジェクトです。この貴重な機会に、薩摩川内市のれいめい高校男子バスケットボール部の皆さんが選ばれました。
今回、部活指導に訪れたレジェンドは、渡邉拓馬さん。”得点王が指定席”、”その世代の一番すごいやつ”と、漫画「スラムダンク」作者である井上雄彦さんも語るほどの人物です。(井上雄彦さんブログでの紹介記事はこちら)
渡邉さんが福島工業3年生の時、田臥勇太選手を擁する能代工業との決勝は、今も語り草になっているそうです。アルバルク東京を始め複数のプロチームや日本代表にて輝かしいキャリアを重ね、現在はアルバルク東京でゼネラルマネージャーの補佐として活動されています。
渡邉さんご本人のインスタグラムにて「なんかコーチっぽい」「背中広いなぁ」
早く着いたから、と予定より時間を早めて指導スタート。予定時間いっぱいまで、たっぷりとコーチしてくださいました。
給水もしっかり。汗をかいたあとには、ポカリスエットが一段とおいしいですね!
「普段ここまで頭を使って練習したことはなかったです」「楽しかった」と選手の皆さん。
指導のしめくくりに、渡邉さんが贈った言葉は、”Sacrifice” (犠牲)。時には自分のエゴを押し殺し、まわりを活かすことが、めぐりめぐって、自分を活かすことにつながる、と説明されました。
チームボトルにもサイン!
終了後も、渡邉さんを囲んで質問タイムが続きました。
彫りの深い顔立ちはご自身も「こっち(九州)の人っぽいですよね。空港などでは外国人だと思われて、英語で話しかけられます(笑)」
■渡邉拓馬さんインタビュー
Q. れいめい高校バスケ部の印象は?
「挨拶、礼儀、きちんとしている良いチーム。プレーの基礎がきちんとしていますね。県内では高いレベルにあるチームなんだと思います。やっていることは全国の強豪と変わらないので、プレーの質、状況判断の質を上げていけば、全国大会で上位に食い込むチームになっていくと思います。来年のインターハイには、是非出場して欲しいですね」
Q. 同じ薩摩川内市にある川内高校男子バスケ部と良いライバルだが
「競争は大事、切磋琢磨することがレベルアップにつながる。全国でどちらかが結果を残せば、自分たちのランクも分かる。チーム内での競争もあります」
Q. 現在はチームマネジメントの補佐をされているんですね
「選手とフロントのパイプ役になりたい。選手の数字に表れない人柄、泥くさいプレー、チームへの貢献を評価できるマネジメントに取り組みたい」
Q. 座右の銘 “Sacrifice” について
「学生時代は(自分の)ワンマンチーム、日本一になったことはなかった。プロになってから、スター選手揃いのなかで、自分のカラーをどう出すか?と、最初は考えていたが、次第に5人のチームのうち、ほか4人をどう活かすか?について考えるようになった。その日の調子がいい選手、ノーマークの選手に譲る、ディフェンスが苦手な選手にはカバーをする、周りを活かすことで、チームが強くなっていった」
「ひとりがやり出すと、連鎖反応でみんなが周りを活かすようになり、チームはますます強くなる。我慢して自分を犠牲にしていくと、不思議と巡り巡ってゲーム終盤自分にチャンスが回ってくる。自分が大人になっていくと、自分を犠牲にすること、そして誰かを犠牲にしていることに気づきましたね。誰かの犠牲で自分がバスケを出来ていることに感謝して欲しい。その思いは周りにも伝わっていくということを、若い世代に伝えたいです」
「自分が自分が!というだけでは勝てないですね。周りあっての自分、周りを活かしていると自分も生きてくる。そういうのは神様が見てるよ、っていう。高校生なら、自分でプレーしたい!という気持ちが強いし、プロの世界ではトップ選手、スター選手のプライド、自信満々でくる選手ばかり。どこかで自分を客観視して、何ができるか、どうしたらベストなのか、分かっている選手はトップでも少ない」
「時には、エゴ・個性を押し殺して、チームとして勝つことが大事。自分が目立ちたい、いや俺が!っていうのもありますが、勝ち負けを追求すると、スター選手、ワンマンチーム、それだけじゃ、だめ。勝てないです」
「家族や周囲の協力があって、できていることを理解して、感謝して欲しい。周りがハッピーであれば、世のなかも平和になるはず」
Q. 指導者としての活動は?
「4年前くらいから、今回のエールキャラバンのようなキャンペーン活動の依頼を受けて、各地の学校で指導しています。現役を終え、次のステップを考えた時に、人と接することは苦手なんですけれども、今後こういう活動も必要だろうなと思って、チャレンジしています」
Q. 「スラムダンク」では誰が好き?
「流川が好きですね」ーストイックな感じが共通してます!「そうですか、そんなにストイックでもないですよ(笑)」
Q. バスケを愛する皆さんにメッセージをお願いします
「Bリーグができて、日本のバスケットが盛り上がってきて嬉しい。今後さらに発展して、世界に通じるバスケになるには、応援してくれる方の力が必要です。会場に足を運んで、ぜひ生のプレーを見て欲しいですね。近くのチームなり、好きなチームのゲームを見て、応援してください。会場で会ったら、声かけてくださいね(笑)」
トップアスリートでありながら、優しい笑みをたたえた静かな語り口は、平和を希求する哲学者のようでもありました。若い世代への指導者として引っ張りだこなのも納得の、お人柄でした。
渡邉さんのバッシュ&シューズ。サイズは32センチ。
顧問の和田先生、保護者の喜多さん、大塚製薬の廣木さん。おつかれさまでした!
充実した一日でしたね!取材ご協力、ありがとうございました。
■れいめい高校男子バスケットボール部
■大塚製薬(株)鹿児島出張所