インターハイ2019・熱戦の記憶(4)

高校生の夏のスポーツの祭典、全国高校総体。男女バスケットボール競技は薩摩川内市のサンアリーナせんだいをメイン開催地として行われ、連日熱い戦いが繰り広げられました。地元開催で奮闘した鹿児島代表・男子川内高校、女子れいめい高校、そして大会を支えたスタッフの横顔をお届けします。

すべてはここから始まった!南部九州総体2019・開会式。7月28日、鹿児島市・鹿児島アリーナを舞台に、整然とした入場行進、華やかなパフォーマンスが行われ、会場は高揚した雰囲気に包まれました。

開会式に参列した男女バスケットボール競技の選手を代表して、川内高校男子バスケ部・川畑颯太郎キャプテン、れいめい高校女子バスケ部・徳田梨愛キャプテンが選手宣誓の大役を務めました。

無事大役を終えてほっと一息の川畑選手(左)、徳田選手(中央)と、旗手を務めた鹿児島工業男子バスケ部・山下聖選手(右)

大会初日となった7月28日。梅雨明けして迎えた大会は、最終日まで好天に恵まれました!また、この日は秋篠宮殿下・妃殿下がサンアリーナせんだいを訪れ、高校生の熱戦をご観覧されました。観戦後には、観客席の生徒や保護者に声をかけられる様子も見られました。

男子1回戦。県大会で準優勝し、2年ぶりのインターハイ出場となった鹿児島工業は鳥取城北(鳥取)と戦い、74‐57で初戦突破!翌日7月29日の2回戦は、いちき串木野市に会場を移し、実践学園(東京)を相手に粘り強く戦いました。結果は55‐83で敗れたものの「自分たちがやるべきことをコートで表現できれば、関東チャンピオンともしっかり戦えるということが分かった」と中島監督(※月刊バスケットボール10月号)。選手も全国の舞台で、たしかな手ごたえをつかんだことと思います。

大会序盤のピークとなった川内高校の初戦。2回戦で北陸学院(石川)と対戦!

学年応援が加わった観客席は早々に埋まり、立見席も二重三重の人垣となっていました。川内高校のチームカラーである赤をまとった応援団が大声援を送ります!

序盤から互いに堅いディフェンスで得点を許さず、会場の雰囲気も相まって非常に重たい試合展開となりました。これは「狙い通りのロースコア」(川内・田中監督)でもありましたが、緊張感に満ちたまま前半を川内6点リードで折り返します。後半、北陸学院はマンツーマンからゾーンディフェンスに切り替え、川内の得点を封じる一方、初戦から当たっていた3ポイントシュートが牙をむきます。逆転を許した川内は離されまいと粘りましたが、点差を縮めては突き放される苦しい局面が続き、攻守の波に乗りきれないまま、試合終了。49‐63で涙の敗戦となってしまいました。

試合後、田中監督は「相手のゾーンを攻められなかったことが大きな敗因です。この会場で、この試合をするためにうちに来た子たちですので、勝てないことはなかったと思うとやっぱり、つらいですね」と声を詰まらせていました。キャプテン・川畑颯太郎選手は「前半思い通りにロースコアで持っていくことができたんですけど、後半、相手のゾーンディフェンスを崩せなくて・・・自分たちが力不足でした。地元インターハイを経験して、すごくたくさんの方々に応援されているんだと感じた。応援して頂いているありがたさを感じた試合でした」と感謝の言葉を述べながら、胸が一杯になっていた様子でした。(※MBCラジオインタビュー)

お隣、宮崎県代表・延岡学園。昨年は九州大会での不祥事があり、インターハイ出場を辞退した経緯がありました。体制を刷新し、チームの指揮を任されたのは、鹿児島出身の楠元龍水監督。「応援されるチームに」を合言葉に今大会を戦い、ベスト8入り。監督ゆかりの地・鹿児島で、良い形での再出発となったのではないでしょうか。

男女準決勝が行われた大会6日目、8月1日はサンアリーナせんだいから生放送を行いました。番組に出演してくださったバスケットボール解説者の塚本清彦さん(写真中央)。川内・田中監督とは明治大学の先輩・後輩にあたる間柄。田中監督の弟・田中完二さん(写真左)が、お取り計らいくださいました。プロの解説者にタダで喋ってもらい恐縮です!また、試合を終えた川内高校男子バスケ部の1、2年生(写真)に川内高校の試合や大会の感想、今後の抱負を述べてもらいました。先輩の姿から多くを学んだことと思います。

初優勝でインターハイ初出場となったれいめい高校・女子バスケ部。シード校として2回戦から登場し、鹿児島市の会場で浜松開誠館(静岡)と対戦しました。試合を終えてサンアリーナせんだいを訪れていた徳田梨愛キャプテン、中袴田美侑・副キャプテンに、試合を振り返ってもらいました。

結果は54‐94と「全国の高い壁」を痛感する敗退となりましたが、「最後まであきらめずに走り切った」ことはチームの誇り。次に向けて走り出しています!

2年生主体のチームだったこともあり、これから開催されるウインターカップ、そして来年へと期待が膨らむ、れいめい高校女子。大会を終えた選手は、大会補助員として運営にも参加します。笑顔でドリンクを提供していました♪

今までもお伝えしたとおり、大会運営には多くの地元高校生が携わりました。炎天下で駐車場案内を担当したり・・・

試合をスムーズに進めるための記録・表示係・・・

複雑なバスケットボールのスタッツ(各種データ)を正確に、迅速に・・・

会場で見たい試合があっても我慢しながら・・・

さまざまな業務に徹する姿がありました。

そして、頑張る高校生の姿を伝えたのは、鹿児島県バスケットボール協会広報部の村田寛文さん。

「試合結果を伝えるメディアはたくさんある。としたら、広報部にできることは何か?」と考え

「大会を支える高校生を取り上げよう!」と決めた村田さん。

多くの高校生の頑張りが目に見えて伝わりました。

全日程を終了した8月2日の夕方には、FMさつませんだいのスタジオに登場!審判として広報部として駆け抜けた熱戦の舞台裏を、熱く語って頂きました。

川内高校の白石秀逸校長。高体連の鹿児島県バスケットボール専門部部長でもあります。試合で頑張る選手、運営を頑張る高校生の姿や、会場に訪れた多くの観客を目にした白石校長。「これだけのレベルの高い大会を薩摩川内市で開けたということは、子どもたちにとって非常に大きな財産です」と感慨深げでした。

白石校長の言葉に「鹿児島県のバスケット熱はかなり高めだと思います。子どもたちの眼差しが次世代の日本代表につながるかもしれない。大会運営に関わっている人たちは親切でしたし対応も素晴らしかったです。もう少し長く鹿児島に居たかったな」と反応してくださったのは、愛知県代表の強豪・桜丘高校バスケットボール部トレーナー・前兼久俊一さん。実行委員会の皆さん、バスケットボール関係者の皆さん、選手スタッフの皆さん、補助員の高校生、メディアの皆さん、会場に訪れた観客の皆さん。大会に関わった全員がつくりあげた、熱い7日間でした。