すこやかな人生のために~薩摩川内市の女性活動~

時代の変化に伴い、女性のからだや健康を取り巻く状況は大きく変化しています。薩摩川内市でも女性の健康を願う啓発活動が展開されています。2021年10月、ふたつの活動を取材しました。

NPO法人ピンクリボンかごしま理事長 帖佐 理子さん

10月は「鹿児島県ピンクリボン月間」です。鹿児島だけでなく日本全国、そして世界各地で同様の活動が行われています。ピンクリボン運動は乳がんについての正しい知識をひろめ、乳がん検診の受診率向上、早期発見、早期治療等を目指す啓発活動です。NPO法人ピンクリボンかごしまの理事長を務める帖佐理子さんは、薩摩川内市神田町にある若松記念病院に内科医として勤務しています。「活動の認知度は高まったものの、乳がん検診を受診しよう!というところまでは、あと一歩」と話す帖佐さん。実は自身も、乳がんのサバイバーです。乳がん手術・治療の経験者だからこそ伝えたい思い、医療者としての願い。ひとつひとつ、言葉を選びながら話してくださいました。FMさつませんだいの番組で放送したインタビューをお聴きください。

〇帖佐理子さんインタビュー(約5分)
 
〇薩摩川内市・いちき串木野市で乳がん検診を受けられる医療施設

クイーンズ乳腺クリニック
薩摩川内市若葉町7-10
0996-20-5334

済生会川内病院
薩摩川内市原田町2-46
0996-23-5221

おやまクリニック
薩摩川内市上川内町3303-1
0996-22-1101

金子病院
いちき串木野市照島6002番地
0996-33-0011

※乳がんと関係すると考えられる主な危険因子は次のようなものがあります
初潮が早い,または閉経が遅い人/閉経後の肥満/血縁者に乳がんになった人がいる/高齢出産の人,または出産をしていない人/以前,乳がんや良性の乳腺疾患にかかったことがある人など

〇参考サイト
NPO法人ピンクリボンかごしま:リンク
鹿児島県ピンクリボン月間:リンク

さまざまなピンクリボングッズで啓発運動を行っています(写真:NPO法人ピンクリボンかごしま・オリジナグッズのサイトより)

川内なでしこライオンズクラブ 市内の小中学校2校に生理用品を寄贈

「女性だけで構成される県内唯一のライオンズクラブとして、私たちがまず動かなければ、という思いがありました」と話す、川内なでしこライオンズクラブ会長・田中康代さん。コロナ渦に浮かび上がってきた「生理の貧困」、ご存知でしょうか。経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいるという問題です。

※参照:男女共同参画局サイト

薩摩川内市立川内中央中学校にて 目録を受け取る池田校長、荒殿教頭(後左)、宮脇養護教諭(後右)

宮脇養護教諭のお話によると保健室に生理用品の準備をしてあり「用意をしていなかった」等、年に20名程度、月に1,2回取りに来る生徒がいるそうです。「もしかしたら問題を抱えている生徒や、あるいはまだ言えてない生徒がいるかもしれない。良い機会を頂いたので、生徒ともこのような状況について話してみたいと思います」と宮脇教諭。

池田猛校長は「今までは男性が生理の問題について触れることはタブー視されていたところもあったが、状況は変わりました。特に教育者としては男性も知っておかなければいけないこと。中学生はデリケートな年代でもあるので、女性教諭や養護教諭と連携を取りながら、学校としても前向きに取り組んでいきたい」とあたたかな笑顔で、メンバーの皆さんと約束されました。

薩摩川内市立平佐西小学校にて 池田校長、奥野教頭と意見交換

川内なでしこライオンズクラブのメンバーで助産師の藤﨑るみ子さんは「近年、初潮の低年齢化が進んでいます。小学校で正しい知識を学ぶこと、適切なケアがなされることがとても重要です」と訴えます。平佐西小学校では年間に8人程度、生理用品の「貸し出し」があったと話す池田浩校長。「実際にはほぼ支給しているので、このような寄贈はとてもありがたい」とのこと。急なことで用意をしていなかったという児童がほとんどですが、なかには父子家庭など、困りやすい状況にある児童もいるのではないか、と思慮していました。「保健の授業で男女ともに生理について学んでいます。これを機会に理解を深めていけたら」と感謝の言葉が伝えられました。

メンバーの羽田さんは「生理用品は女性にとっての必需品。トイレにはトイレットペーパーがあるように、いずれ生理用品も当たり前に置いてある社会になってほしい」との願いを込めます。助産師・藤﨑さんの「私の祖母の代、明治の女性には、生涯の生理は150回ほどしかありませんでした。現在の女性のからだは全く違う状況にあります」との話も印象に残りました。ピンクリボン活動の話ともつながっているかもしれません。その善し悪しは別として、これからを生きるすべての人が少しでもすこやかに、生きやすい時代になるように。活動をされる皆さんの後ろ姿は、そう物語っているようでした。

取材協力 川内なでしこライオンズクラブ

事務局 薩摩川内市大小路町12-14
電話 0996-24-0077

2021年10月取材・文 泊 亜希子