こしきまるたびフリーチョイスを使って、とってもお得でプライベート感のある旅はいかがですか。自然に親しみ、自分を見つめる。甑島1泊2日の旅。(1)からの続きをどうぞ!
14:14 敬老園前 到着
里港から中甑を経由して甑大橋を渡り、鹿島港~下甑と、アップダウンのある山道をとことこ走ってきた公共バス。車窓からの眺めは旅人を飽きさせず、300円で下甑まで運んでくれる。今夜の宿、ampersandの最寄りバス停で降車。バス旅もいいものです。
宿と食堂 ampersand/アンパサンド
1日1組限定の宿。最大5名まで宿泊できる。
部屋の小窓からも海が見える。
ampersand(アンパサンド)とは「&」のこと。島を訪れた人と地元の人、旅と日常、上甑と下甑。さまざまなものをつなぐ場所になれたら、と語るオーナーの中野理恵さん。福岡出身で結婚を機に甑島に暮らす理恵さんが、優しい笑顔でカフェと宿を切り盛りしている。
荷物を部屋に置いたら、島育ちのローズマリー香るレモンソーダでひといき。
ランチは旅行客にも地元の人にも大人気。長浜港・下甑観光案内所に勤めるタバタさんのランチを撮らせてもらった。日替わりプレートのほか、下甑名産のたかえびを使ったグリーンカレーが頂ける。スイーツもすべて理恵さんのお手製で、宿泊客には夕食と朝食もふるまう。宿泊者(+友人)だけの特権だ。
15:00 長浜港散策
前回、長浜港を車で通った際、港のはじっこのほうにある建物で、何やら人が作業をしているのが見えた。あれは何?と島の友人に尋ねると「たかえびの選別場よ」とのこと。今日は作業をしているだろうか。ampersandで理恵さんとタバタさんに話を振ると「どうだろうね。作業している時はカラスが集まるって聞くよ」と笑う。お散歩がてら行ってみることに。
1602年、甑島に上陸した宣教師の石碑があった。
のちに彼らは甑島を離れ、薩摩川内市京泊に教会を開く。
この時期(2020年10月下旬)島のあちこちに咲いていた芙蓉の花。
2004年(平成16年)10月。里村、上甑村、下甑村、鹿島村で成り立っていた甑島は合併に伴い、薩摩川内市となりました。
さて、「長浜港のはしっこの小屋」を目指し歩いていると、軽トラックに乗ったおじさん二人組から「えびを買える場所を知っちょう?」と尋ねられた。この先だと思いますよ、私も行くところです、と答えていると今度はスクーターに乗ったおじさんが登場。軽トラのおじさんたちに「私の後をついてきてください」と指示し、颯爽と走って行った。私もその後を追う。目指す場所の上空には、からすが異様なほど飛び交っていて、たかえびの作業中であることを示していた。
診療所、ガソリンスタンドを通り過ぎ、たかえび小屋に到着!先ほどのおじさんたちが早速えびを買っている。
黙々と作業している皆さん。見学させてもらう。
獲れたてのたかえびが、あちこちで山盛りに。船の上でおおまかに選別し、有頭・無頭、大きさ別にパック詰めしていく。
薩摩甘えびとも呼ばれるたかえび。車えびくらいの大きさに、甘えびのような甘みとぷりっとした食感。
じっと見ていると「ひとつ食べてみるね?」うれしい~笑。薄く柔らかい殻をむいてそのまま頂く。ぷりぷりの身をかむと甘みがひろがり、舌にすっと溶けていく。海から獲れたままでこんなに美味しいものがあるのか~と感動します!
現在、下甑では4艘の漁船がたかえび漁を行っているそう。この日は2艘の漁船が作業をしていた。
作業を見ていたら、ここはナポリ?と錯覚するほどイタリア人みたいな漁師さんが登場!下野 尚登(しものひさと)さん。たかえび漁に携わり25年になるという。「下甑で漁としてたかえびを獲り始めたのは昭和45年くらいから。1月~3月と7・8月は禁漁、4~6月と9~12月に獲る。水深350メートルのあたりを底曳き網で獲るんだよ」と教えてくれた。「日の出以降、朝5時ごろに出航して、漁は12時半くらいまでかな。それから帰ってきて午後1時から5時くらいまで、ここで作業をする」そうだ。
自身の船の前で。日に焼けた笑顔で「下甑のたかえびをよろしくね!」と下野さん。こちらの作業所でたかえびを買うことはできるが、自然が相手の仕事。その日の漁次第であることを、ご理解ください。買えたらラッキーという気持ちで。お土産用には冷凍たかえびが販売されている。冷凍したたかえびは甘みが増すそうだ。新鮮なたかえびは島ならではの贅沢。滞在中に味わっておこう。
作業で出た身や殻をカラスにあげていた。海の恵みをひとりじめにしない、島の風景があった。
旅は(3)へと続きます!
※公共バスの運行、料金等はすべて2020年10月取材時の情報です。