宝石のようないちご。ひがし農園のさつまおとめ

薩摩川内市樋脇町市比野。美人の湯として名高い市比野温泉街のほど近く、山と田んぼの真ん中に「山のいちご屋さん ひがし農園」はあります。いちごひと筋40年、東清和さんがその経験と愛情を注いで育てるいちご。気品さえ感じる色つや、そして口いっぱいにひろがる甘さと香り。絶品のいちごを生む背景をお伺いしました。

2018年市比野onsenガストロノミーウォークにて提供されたひがし農園のいちご。

東清和さん。自慢のいちごを手にニッコリ。

いちご作りに携わって40年、観光農園を始めて20年以上という東さんは、薩摩川内市樋脇町の出身。会社勤務を経て、家業の農業を継ぎました。当初はメロン栽培から始めたそうですが、いちごの伸びを見込み、栽培に挑戦することに。鹿児島県の農業試験場や県外の農園を回り、独自に研究を重ねてきました。

アイデアマンの東さん、ハウスの自動屋根開閉装置や自動かん水装置を自分で開発するなど、工夫と努力を惜しまない性格です。このハウスは給水パイプを地下に埋め込むことでバリアフリーを実現。通路も広くし、車いすの方もいちご狩りを楽しめるハウスになっています。

高床式の土壌栽培。摘花を行い、大きな実がなるようにしています。

現在、ひがし農園で主に育てている品種は「さつまおとめ」「おいCベリー」「紅ほっぺ」の三つ。

なかでも「さつまおとめ」は、東さん自身とても思い入れのある品種。鹿児島県で改良された品種で「私も試験段階から携わってきたいちご。作り始めたころからピンとくるものがあった」と話します。ただし、栽培が難しく、手間ひまがかかり、気を遣ういちごなのだといいます。試行錯誤を経て「ようやく、納得できる作りができるようになった」と手ごたえを感じている様子です。

さつまおとめは大粒で甘く、桃のような食感。クリーミーな乳白色の果肉で、食べごたえがあります。酸味が少なく、子どもから大人まで好まれる味わいです。おいCベリーは、色、味が濃くビタミンCとアントシアニンが豊富。果肉も赤いのが特徴です。紅ほっぺは、色・香りが良く、果汁が多いのが特徴。野イチゴのような風味で全国的にも人気がある品種です。ぜひ食べ比べて、品種ごとの味わいの違いを楽しんでみてください!

ひがし農園では朝摘みの新鮮ないちごを届けています。いちごの花を添えて。

ひがし農園までの道々に案内してくれる看板。可愛い看板は一緒に農園で働く娘さんのお手製です。MBC「かごしま4」薩摩川内市からの中継では、つんと一緒に登場頂きました。

「いいものを作れば、不便なところだからこそ勝負できる」との思いでやって来られた東さん。その言葉どおりに、ひがし農園のいちごは全国から注文が入ります。いちご狩りシーズン中の週末には、田んぼ道に車の列が並ぶこともしばしば。「仕事は楽しく。お客様から喜ばれるものをこれからもつくっていきたいです」と東さん。いま作ってみたい品種は「ぴかいちご」と、研究心は衰えを見せません。

ひがし農園のいちご狩りは1月~5月のゴールデンウイークまで楽しめます。今が旬のいちごですが、3月中は来客や注文発送も多いため、4月になれば実の数も十分確保できるとのお話です。ひがし農園の摘みたて絶品いちご、地元の皆さまにはぜひタイミングを見計らって、おいしい盛りを味わって頂きたいと思います。

山のいちご屋さん ひがし農園
鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野4972-1
0996-38-0415
ブログ:https://ameblo.jp/higashifarm/
*十分ないちごの数を確保するため、臨時休園になることがあります。お出かけの際には事前に確認されるとスムーズです。