発酵食Labの料理教室

2021年6月いちき串木野市旭町にオープンした発酵食Lab直売所。主宰の塩田亜耶子さんは地域おこし協力隊の甑島・上甑地区担当の活動を経て、発酵食Labを創業しました。2021年9月よりFMさつませんだい「塩田亜耶子のHAKKO RADIO」(火曜17時~放送)にてラジオパーソナリティにも挑戦。地域に根差した発酵食品や食文化について情報発信しています。

ゲストをお迎えして。次世代のための食推進に取り組む皆さんと。

そんな塩田さんが開講する、発酵食に特化した料理教室は定期コース、単発レッスンともにいつも大人気です。今回は「私の毎冬のマイブーム、酒粕。みんなもう聞き飽きたかな?笑」と塩田さんがラジオでも熱く語った、酒粕料理のレッスンに参加しました。

最初に参加者どうしで自己紹介、鹿児島のあちこちから来られていました。先生みずから「ふーにゃん、と呼んでくださいね」。和気あいあいとした雰囲気に包まれます。

そしてこの日の発酵食材、熊本は亀萬酒造の酒粕が登場。亀萬酒造は日本最南端の天然醸造の酒蔵です。米焼酎が有名な熊本ですが、日本酒も造られているんですね。大阪出身の塩田さんにとって「冬はもう毎日粕汁です。野菜も肉も入れて具だくさんの粕汁で身体を温める。母親の味」なのだそう。

現在の暮らしに使いやすく。酒粕もアップデート。

鹿児島は焼酎文化圏なこともあり、今まであまり酒粕を頂くことがなかったと話す参加者。「そうかもしれませんね。日本酒の産地ではポピュラーな食材ですが、実は酒粕ってスーパーフードなんですよ。天然の旨み調味料であり、乳酸菌や酵母の働きで食材をおいしくしてくれる。身体にもいいし、知れば知るほど使わないのはもったいない!」と塩田先生の酒粕愛が止まりません。しっかり座学もしたところで調理スタートです。

食材から調味料まで、心の行き届いたものばかり。

3年ものの手づくり醤油(赤い蓋の容器)は、発酵食Labの定期コースで作っているものだそう。

豆腐でつくる酒粕ティラミス。薩摩川内市の「くすもと豆腐」のものを使いました。

スパイスの効いたチキンも酒粕の力でしっとり、やわらか。

旬の紅大根を塩もみして、酒粕と柚子胡椒で即席漬けに。サラダのようにフレッシュ。

ターメリックと酒粕を入れて炊き上げたご飯。お米も発酵で美味しくなるとは…。

酒粕と麦みそはすり鉢でなめらかに。このひと手間で、ぐっとおいしさアップ。

すべてのレシピに酒粕が入ったメニュー、完成しました。まずはスープをひとくち…すっと舌になじむおいしさに、思わず隣の方と「ほ~っ」とため息が揃ってしまうほど。甘みとまろやかさ、カドのない深い味わい。食後の余韻も心地よく、発酵食のパワーを実感しました。楽しくおしゃべりするように酒粕の利用法を伝授してくれた塩田さん。「酒粕、ぜひ家でも使ってくださいね」と満面の笑みでした。

にぎやかに開店中。すっかり通りの顔となった直売所です。

地域ごとに伝統のある発酵食。現代の暮らしに沿っておいしく、楽しく取り入れられるように、という思いが発酵食Labの取り組みからは伝わってきます。地域の味、発酵の知恵を身近に学べる良い機会となりました。

料理教室の詳細は「発酵食Lab」ウェブサイト(リンク)インスタグラムにて、お確かめください。

取材・文/泊 亜希子