福居一大会甑島ごったん部
素朴な板張りづくりの弦楽器、ごったん。三味線と似ていますが、動物の皮を使わず、演奏するときにもバチではなく指ではじきます。とつとつとした音色は、郷愁を誘う響き。南九州に古くから伝わるこの楽器で、甑島の風土を歌で伝えようと取り組んでいるのが福居一大会甑島ごったん部の皆さんです。
部長の齊藤純子さんは「島に眠っている、昔から歌いつがれてきた甑島の唄を、掘り起し歌っています」と、この活動に精力的に取り組んでいます。メンバーの持つごったんは、かたちや音色も楽器ごとにそれぞれに異なります。素材は主に杉の木が使われていますが、島に伝わるものは素材もばらばらだったとか。
「家を建てるときに出た木材で、好き好きにつくり、演奏していた」そうで、齊藤さんのごったんも大工さんのお手製によるもの。
東京在住のプロ三味線奏者、福居一大さんを毎月招いて練習に励んでいます。地元の宴席の場や観光客の宿に呼ばれて、演奏を披露する機会も増えました。
この日はMBC テレビ「かごしま4」に生中継出演。生演奏は初めてとのこと。緊張をみせながらも「島立ちの歌」など2曲を披露。
のびのある艶やかな歌声を素朴なごったんの音色が引き立てます。男性、女性とソロを取り、島の力強さとたおやかさを表現しました。
MBCのスタジオには過去に共演経験のあるコントラバス奏者・森田良平さんが出演しており、ごったん部のメンバーとカメラごしの再会を喜びました。
「また、甑島で共演したいね」と森田さん。7月29日には甑島里にて「ごったん祭り」が行われます。ごったんの素朴な響きと、こしきの島唄の魅力を聴きに行ってみませんか。
福居一大会甑島ごったん部:facebookページ
部長:齊藤純子さん(こしきツアーズ)
09969-3-2347
会場協力:ギャラリーヒラミネ
島特産のアロエソーダと季節のスムージー。こちらも絶品です。
甑島里のさっこら踊り
2017年6月4日、川内文化ホールにて第12回薩摩川内芸能祭が開催。甑島伝来の踊りがふたつ、披露されました。
ひとつは、さっこら踊り保存会の皆さんによるさっこら踊り。さっこら踊りは、江戸時代末期の心中物を口説き調に物語ったもので「さっこら、さっこら」という威勢のいいハヤシが特徴。里地域では、雨乞いのために踊ることもあるのだそうです。
甑島長浜の出羽踊り
もうひとつは出羽踊り。こちらは長浜地区に古くから伝わる伝統芸能で、6人以上の偶数で編成され、ほとんど中腰で踊る勇壮、活発な踊り。地元では主に中学生が躍るそうで、今回は特別に大人だけの編成で披露。10数年ぶりのことだったそうです。
踊り手は客席から登場。ドラマチックな演出!ごったん部を指導している福居一大先生も演奏で登場。
力強い足踏みが地面を鳴らします。
終演後、ほっとひと息。みなさん、会心の演技だったようです!
それぞれに地域に伝わる芸能文化を大切に守り、後世に伝えていこうという取り組み。
風土や歴史とともにある郷土芸能が、甑島の暮らしに彩りをもたらしています。
2017夏こしき