甑大橋開通以来、ますます観光地として注目を集める甑島。初めての方もリピーターの方も楽しめる、たくさんの見どころやアクティビティが待っています。今回は早春の甑島・下甑島にて、いにしえの暮らしと緑の息吹を感じる山歩きをご紹介します。
薩摩川内市港町の川内港高速船ターミナルから高速船甑島に乗船。今回は上甑・里港には下船せず、直接、下甑・長浜港に向かいます。
船窓から甑大橋を望むことができます。近くで見るのとはひと味違う、甑大橋の華奢な姿です。
乗船すること95分、下甑・長浜港に到着しました。長浜地区コミュニティ協議会の皆さんと合流し、樫の木児道へと向かいます。このトレッキングコースは過去に2回「樫の木児道を歩いてみる会」としてイベント開催されています。各回100名以上の参加者が集まる盛況ぶりで、今季も開催が予定されていましたが、社会状況を鑑み延期に。2022年度中の開催を検討しているとのことですので、お楽しみに。
「樫の木集落」とは、山の中腹を切り拓き、昭和30年代くらいまで、実際に甑島の住民が暮らしていた集落です。集落の子どもたちは山道を駆け、ふもとにある長浜小学校に通いました。そのことにちなみ「樫の木児道(こどう)」と呼んでいます。登山道の入り口までは長浜港から車でおよそ10分。登山口から樫の木集落跡地までは約1.2キロの道のりです。入り口にある竹杖を手に取って、出発~!
登山道は道しるべや手すりなどが整備され、道みちの案内を読むのも面白く、歩いていて飽きさせません。写真上の「馬の背の道」は両側が崖になっていて、かつて酒に酔った住民がここから落ちたとか、落ちなかったとか…
山に届く潮風、木洩れ日が心地よく
集落跡の暮らしの名残やシンボルツリーを眺めながら、てくてくと登っていくと「一福、二福、三福」と看板が適度に休憩するタイミングを教えてくれます。そしてたどり着いたのが「至福のひととき」!
第一展望休憩所にて一行の眺める先には…
長浜の港と町が一幅の絵のように、きらめいていました。
きれいな景色に元気をもらい、さらに歩いていきます。ゆっくり登って30分~40分くらいでしょうか、樫の木集落跡地に到着しました。写真上は昭和30年代当時の様子をいきいきと描いた看板です。段々畑で茶や芋を栽培していた暮らしの跡を、今も確かめることができます。
集落の入り口付近にそびえる大樹は…
百年モミジと名付けられています。秋の紅葉は壮観だそう。散り敷く落ち葉を踏みしめながらのトレッキングもいいですね。
「樫の木児道を歩いてみる会」イベント時には、参加者そろって、この場で食事をするのだそうです。島の恵みをふんだんに使ったお料理で地元の方がおもてなし。
かつての生活用水は現在も利用されています。お手洗いあり、お子さまと一緒のトレッキングでも安心です。
「樫の木児道を歩いてみる会」の皆さんにご案内して頂き、楽しく歩くことができました。さらにチャレンジしたい方は、この先を進むと尾岳登山道とつながります。甑島の最高峰(604メートル)であり、「しま山100選」にも選ばれている尾岳の頂上を目指してみませんか。その際はぜひ、甑島に一泊しての登山をおすすめします。樫の木児道~尾岳登山のご相談は、長浜港ターミナル内の観光案内所にて「地図とポイントの説明をお配りできますので、お気軽にお立ち寄りください」とのことです。イベント等の開催につきましては、長浜地区コミュニティ協議会(電話09969-5-0048)まで、お問合せください。かつて子どもたちが歩いた、いにしえの通学路。今は素敵なトレッキングコースとして旅人を誘います。