世界中の愛犬を健康に!Buddycareとアトスフーズの挑戦

人類最古のパートナー=Buddyとして1万年以上の歴史を持つ犬。薩摩川内市でも犬と散歩をする愛犬家の姿をよく見かけます。ペットとして飼うというよりも、生活を共にする家族の一員として大切に思う飼い主さんも多いはず。愛犬と一日でも長く一緒に過ごすために。そんなミッションを掲げて創業したBuddycare(バディケア)。タッグを組むのは薩摩川内市の企業、株式会社アトスフーズです。犬好きが集まった熱い思い、ぜひご覧ください。

Buddycareの原田和寿さん(写真右)と長井聖司さん(左)、アトスフーズの二木俊輔さん(中央)

Buddycareは2021年4月創業。創業者の原田さんは薩摩川内市の出身です。平佐西小、川内中央中から鶴丸高校、九州大学へと進学されました。長井さんも宮崎にゆかりがあるそうです。商社で同僚だった原田さんと長井さんには、大の犬好きという共通点が。「いつか会社を一緒にやりたいね」と話していたふたり。新規事業の立ち上げや事業の買収、経営などに携わり「どんな仕事であってもやれる」という手ごたえとキャリアを重ねてきました。それでも「原田は前々からずっと『犬を助けたい』と言っていて。やはり、気持ちを込められる仕事をしたい」と思うようになったという長井さん。原田さんも「僕らは思い先行で動いてきました。ふたりとも犬をずっと飼っていて、ペットというより家族、完全に家族ですよね。当然、家族には一日でも元気でいて欲しいと思うわけで。自分たちが何かやることで、その一日を伸ばすことができるなら。これは人生を捧げるテーマだな、と」

コロナ渦のアメリカ駐在を経て

ほぼ同時期にアメリカ駐在を経験し、2021年4月に原田さん、5月に長井さんが帰国。「信じられないスピード感で実現できた」とふたりが話すように、Buddycareの誕生は、原田さんの鹿児島への思いと、今の時代ならではの状況に後押しされたものでした。「今から一年前はまだ構想の段階。アメリカでもWork From Homeで、その間、創業の準備をする時間が取れたというのは大きいですね。仕事の進め方も社会全体がオンラインでコミュニケーションが取れるようになり、2020年の9月から鹿児島大学共同獣医学部とオンラインで話を進めていきました」と原田さん。「どこで働いてもやっていけるな、という感覚をつかめた。東京~鹿児島でも一緒に働ける。鹿児島でやりたいという地元愛もあり、この地での創業となりました」

愛犬のための健康と美味しさ。その両方を追求する

「まずはご飯をやろう、と最初に決めていました。人間と同様、犬の健康にいちばん影響があるのが食事です。その製造をどこに頼むか、というのは大きなポイントでした」。そこに浮かび上がってきたのがアトスフーズ。「鹿児島、OEMで検索した時にポンと上がってきた」のに加えて、「薩摩川内市なんだ。それなら土地勘もあるな」と思ったという原田さん。さらに鶴丸高校OBとしてつながりのあった、現・日置市長の永山由高さんが「アトスフーズなら、二木さんって人を知ってるから」と、ポンポンと話が進んだのだそう。土地の縁に人の縁。素晴らしい連携がそこにありました。

「実際、鹿児島でやるメリットはとても大きいです。顔の見えるパートナーから肉も魚も質の良い原料を仕入れることができ、これはもう人間の食べものと同じレベルで作りたい、作らなければと思うようになりました。アトスフーズさんの工場を見学して製造過程を見たら、人の手できちんと食材を扱っていると獣医師が感動していました。衛生基準、安全基準。ペットフードの工場とは比較になりません。アトスフーズさんが作っている、というのは我々の大きな強みです」と感謝する原田さんと長井さんに対し、「私たちにとってはごく普通の、あたりまえのことなんですけどね」と二木さん。「だからすごいんですよ。アトスフーズさんから学んでいることはとても多いです」

フードの仕上がりを念入りに確認

Buddycareの目指す高い要望に、こたえていく側の二木さんは「最初に連絡があったのが、2021年の3月です。おふたりは経歴も凄い。エリートなのに気さくで。作業を詰めるなかで、こちらの立場にも立ってくれるし、私たちのアドバイスも受け入れてくれる。一緒に仕事をするワクワクがどんどん広がっている。このプロジェクトに立ち会えている喜びと責任を感じています」と嬉しそう。原田さんも「鹿児島でやりたいという思いがあったからこそ、つながったかなと思います。鹿児島が好きですね、住みやすいし、人が温かい。ずっと帰って来たいという思いはありました」。長井さんは幼少期から国内外で暮らし、様々な土地柄に触れてきたなかで「鹿児島の人は地元を誇りに思っていますよね。アイデンティティに”鹿児島”がある人が多い」と感じるそう。「鹿児島が誇る会社になりたいですね」と原田さん。それを受けて二木さんも「なるでしょう。あそこは最初うちがやったんだよ~と友達に言いたい!」と笑顔でした。

”ヒューマンレベル”を目指すBuddy FOOD

2021年9月、事業の手始めにクラウドファンディングとして行った試験販売は短期間で目標を達成。確かな手ごたえを得て、牛肉フードの開発にも着手しています。色あざやかで見た目にも美味しいBuddy FOOD。高い品質と安全性を求めて、牛肉は鹿屋市輝北町・株式会社肉のもり屋から、ゴマサバを阿久根市の株式会社下園薩男商店から仕入れます。地域の産業にとってもBuddy FOODのような付加価値の高い製品に使われることは、食品ロスの観点などからも有益なこと。「結果としてそうなってくれたら嬉しいですね。我々としては地元を助けるんだ、というよりは頼らせて頂いている立場」と控えめですが、鹿児島県にとっても資源の用途、販路拡大を共に目指したい分野となっていきそうです。

愛犬のための「ほんもののご飯」

写真*Buddy FOOD クラウドファンディングプロジェクトより

鹿児島から世界を目指し、その一歩を踏み出したBuddycare。「鹿児島で始めて良かった」と改めて実感している原田さん。「みなさんとてもサポーティブです。4月に起業したばかりの会社に原料を調達させてくれたり、アトスフーズさんみたいに、資金調達の前から仕事を受けてくれたり」と振り返ると、二木さんも「実際、ドキドキでしたよ。社長にきかれてるから言いますけど、お金大丈夫ですか?!と確認したり。そんな一幕もありました」と、創業期ならではのエピソードを笑って話してくれました。

自分たちが愛犬に使いたいと、心から思えるサービスを

人間と長く寄り添い暮らす犬。それでも犬の健康、適切な食事や病気については、まだまだ解明されていないことが多いのだそうです。「幼少時から犬と一緒に過ごしていたのに、いざ自分が飼い始めてみると”正しい飼い方”がわからない。誰にきいても違う答えが返ってくる。獣医さんも人によって違ったりする。多くの人が同じ悩みを感じているなと思いました」と長井さん。実際に筆者も犬を飼い、共に過ごし、見送った経験があります。子犬としてやってきて、いつの間にか自分たちの歳を追い越し、先に旅立っていく。最期まで手のかからない犬でしたが、もう少し手をかけていたら、もう少し長生きできたのかな、という心残りがあります。

「犬の平均寿命ってだいたい出ていますよね。子犬の時期が過ぎて、あと10年と思った時。残りの3650日を3651日にできるなら。この1日を作れるならと気づいた時に、本気でこのテーマに取り組み始めました」と真剣な表情で語る原田さん。共に暮らす愛犬に、1日でも長く健康に、そして幸せに生きてもらうにはどうしたらいいか。それを徹底的に追求する会社として鹿児島に生まれたBuddycare。アトスフーズと組んで、南九州の豊かな農海産物が美味しいご飯となり、日本中そして世界中のワンちゃんたちの健康と幸せにつながっていく。愛犬家のひとりとしてはワクワクしながら、この夢を応援するしかありません。

Buddycare

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2021年9月取材・文 泊 亜希子